金銭で一時に納付することが困難な理由書

相続税の延納申請において、最も重要な書類の一つが**「金銭で一時に納付することが困難な理由書」**です。

税務署はこの書類を見て、「本当に手元にお金がないのか?」「資産を売っても払えないのか?」を厳しくチェックします。説得力のある理由書を書くためのポイントをまとめました。


目次

1. 基本的な考え方

延納は「お金がないから分割にする」という単純なものではなく、**「あらゆる努力をしても、期限までに全額を現金で用意することが不可能である」**ことを証明する作業です。

審査のポイント

  • 現預金: 生活費や事業継続に必要な資金を除いて、納税に充てられる分はないか。

  • 換価(売却): 不動産や有価証券を売却して納税に充てることができないか。

  • 借入: 銀行から融資を受けて一括納税できないか(銀行の融資拒絶回答書があると非常に強い理由になります)。


2. 理由書の具体的な書き方構成

以下の4つのステップを意識して記載すると、税務署に状況が伝わりやすくなります。

① 現状の資金状況

現在の手元資金が、当面の生活費や事業費で消えてしまうことを説明します。

(例)「現在の手元資金は〇〇円ですが、毎月の生活費および今後の介護費用として〇〇円を確保する必要があり、納税に充当できる余力がありません。」

② 資産の換価(売却)が困難な理由

「家を売れば払えるのでは?」という指摘に対する反論です。

(例)「相続財産の大部分は居住用不動産であり、売却すると生活基盤を失うため困難です。」

(例)「相続した土地は共有持分であり、他の共有者の同意が得られず、期限内での売却が不可能です。」

③ 借入による納付が困難な理由

ここが非常に重要です。まずは銀行に相談した実績をアピールします。

(例)「〇〇銀行に納税資金の融資を申し込みましたが、本人の高齢(または収入不安定)を理由に謝絶されました。」

④ 結論(延納の必要性)

「以上の通り、現預金の保有状況および資産の換価、借入の可能性を検討しましたが、一時に納付することが困難であるため、延納を申請いたします。」


3. 注意すべき「必要経費」の範囲

「生活費として残したいから払えない」と書く場合、認められる金額には目安があります。

項目 認められやすい範囲
生活費 おおむね3ヶ月〜6ヶ月分程度の生活資金
事業資金 事業継続に不可欠な運転資金(1〜3ヶ月分程度)
慶弔費・教育費 近々予定されている具体的な支出(入学金など)

4. 添付すると有利になる書類

理由書に説得力を持たせるために、以下の書類をセットで準備することをお勧めします。

  • 金融機関の融資否認回答書:(コピーで可。これが最も強力です)

  • 家計の収支がわかる資料:(通帳のコピーや収支内訳書)

  • 不動産査定書:(売却しようとしたが買い手がつかない、あるいは著しく不利な条件になる証明)


アドバイス

延納が認められると**利子税(利息)**がかかります。現在の利子税率は以前より低くなっていますが、銀行融資の利率と比較して、どちらが有利か検討済みでしょうか?

もしよろしければ、**「相続財産の構成(不動産が多い、現金が少ない等)」**を教えていただければ、より具体的な文案作成のお手伝いができます。

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